PCoIP Ultraのセッション プランニング
PCoIP Ultraは、ユース ケースのニーズに応じてシステム パフォーマンスを最適化する以下の3つのモードを提供しています。
- CPU-Offload:高解像度のコンテンツを最高画質で提供します。
- GPU-Offload:CPUの使用率を軽減します。
- Auto-Offload:動的コンテンツのために、ロスレス構築の画質および最適な帯域幅の両方を提供し、CPUを節約します。
このセクションでは、PCoIP Ultraの展開のプランニングに役立つビデオ再生ベンチマークを示します。
具体的なシステム要件で機能するCPU-OffloadおよびGPU-Offloadの概要を以下の表に示します。
要件 | CPU-Offload - AVX2 RGB 8|8|8 | GPU-Offload - NVENC YUV 4:4:4 | GPU-Offload - NVENC YUV 4:2:0 |
---|---|---|---|
最高画質デスクトップ(60 fpsで最大25×16または30 fpsで最大4K/UHD) | ✔ | ||
CPU使用率軽減。例:VFXレンダリング アプリケーション(60 fpsで最大4K/UHD) | ✔ | ||
帯域幅温存(例:制限のあるWAN) | ✔ | ||
低コストのシン クライアントからの最高フレーム レート | ✔ |
CPU-OffloadおよびGPU-Offload
CPU最適化モードは、解像度4K/UHDのディスプレイ2台までを対象とし、ロスレス構築画質のオプションを含め、非常に高い色精度で効率的なコンテンツ エンコーディングを行うために、CPUのAVX2命令セットを使用します。GPU最適化モードは、解像度2560×1600のディスプレイ2台までをサポートし、NVIDIA NVENCハードウェア エンコーダーがある場合は、このエンコーダーを使用します。これにより、CPUクロック サイクルが非常に高い場合、対話型レンダリングなどのアプリケーションでは、CPU使用率が軽減されます。PCoIPポリシーを使用して、NVENCのクロマ サブサンプリング方式をYUV 4:4:4またはYUV 4:2:0のどちらかに構成できます。
PCoIP Ultra Auto-Offload
PCoIP UltraのAuto-Offload機能では、ディスプレイの変化率に基づいて、CPU-OffloadおよびGPU-Offloadのどちらか適切なプロトコルをPCoIP Ultraに選択させることができます。初期設定では最高の画像忠実度を得るためにCPU-Offloadが使用され、表示処理の負荷が高くなると、フレーム レートを改善し、帯域幅を最適化するためにGPU-Offloadが用いられます。この設定は、リモート ホストおよびクライアント エンドポイントがCPU-OffloadおよびGPU-Offloadの両方に対応している場合のみ有効です。このオプションは、PCoIP Ultraを有効にしている場合にのみ選択できます。
この方法について詳しくは、HP Anyware Documentation Websiteから入手できる、該当するAgentガイドを参照してください。
Auto-Offloadのメリット
Auto-Offload機能を使用すると、最良のコーデックが使用され、品質と効率とのバランスをとることができます。ディスプレイの変化量に基づいて、PCoIP Ultra CPU-OffloadまたはPCoIP Ultra GPU-Offloadのどちらかが使用されます。認識された変化量が大きい場合、フレーム レートの増加および帯域幅の低減に対応できるように、PCoIP UltraはGPU-Offloadに移行します。Auto-Offloadでは、以下の点も保証されます。
- 管理者によるワークロードごとの調整は不要です。
- バーストがCPUまたはGPUサイクルを奪うことはありません。
- 過渡的な画像アーティファクトはありません。
- 大幅なネットワーク消費はありません。
PCoIP Ultraのシステム要件
PCoIP Ultraを利用するには、以下が必要です。
- Anyware Agent(任意の種類)、23.06以降
- Anyware Software Client、23.06以降
Anyware Tera2 Zero ClientはPCoIP Ultraをサポートしません
PCoIP UltraはAnyware Software Clientのみで使用できます。
- CPU-Offloadには、エージェント マシンおよびクライアント マシンの両方で、AVX2命令セットをサポートするCPUが必要です。
- GPU-Offloadには、エージェント マシンで、NVENCをサポートするNVIDIAグラフィックス カードが必要です。
PCoIP Ultraの要件について詳しくは、HP Anyware Documentation Websiteから入手できる、該当するAgentガイドを参照してください。
クライアント デバイスの要件
PCoIP Ultraを利用するためのクライアント デバイスの要件は以下のとおりです。
- CPU-Offloadを有効化したPCoIP Ultra:4Kで30 fpsを実現するには、Intel第8世代のCore i5/i7プロセッサーおよびデュアル メモリ バンクが必要です。一例として、NUC10i5FNH(Intel Core i5-10210Uプロセッサー)があります。
- GPU-Offloadを有効化したPCoIP Ultra:LinuxおよびWindowsクライアントでは、GPU-OffloadでYUV 4:2:0クロマ サンプリングが有効な場合、ハードウェア デコードを使用できます。YUV 4:4:4モードでは、ソフトウェアベースのH.264デコードが使用されます。Intel第8世代以降のCore i5/i7プロセッサーおよびデュアル メモリ バンクをお勧めします。
PCoIP Ultraの技術的要件について詳しくは、こちらを参照してください。
PCoIP Ultraの互換性対照表
Windows、Linux、およびmacOSに対応するPCoIP Ultra向けのPCoIPホストおよびAnyware Client構成を以下の表に示します。
Windowsクライアント | Linuxクライアント | macOSクライアント | |
---|---|---|---|
Anyware Graphics Agent for WindowsまたはLinux NVIDIA NVENCまたはAMD RapidFire | PCoIP Ultra:CPU-OffloadおよびPCoIP AVX2デコーダー、またはGPU-OffloadおよびH.264ソフトウェア デコーダー | PCoIP Ultra:CPU-OffloadおよびPCoIP AVX2デコーダー、またはGPU-OffloadおよびH.264ハードウェア デコーダー | PCoIP Ultra:CPU-OffloadおよびPCoIP AVX2デコーダー、またはGPU-OffloadおよびH.264ソフトウェア デコーダー |
Anyware Graphics Agent for Windows NVIDIA GeForceグラフィックス | PCoIP Ultra:CPU-OffloadおよびPCoIP AVX2デコーダー | PCoIP Ultra:CPU-OffloadおよびPCoIP AVX2デコーダー | PCoIP Ultra:CPU-OffloadおよびPCoIP AVX2デコーダー |
Anyware Standard Agents for WindowsまたはLinux | PCoIP Ultra:CPU-OffloadおよびPCoIP AVX2デコーダー | PCoIP Ultra:CPU-OffloadおよびPCoIP AVX2デコーダー | PCoIP Ultra:CPU-OffloadおよびPCoIP AVX2デコーダー |
重要:Anyware Tera2 Zero Clientはサポートされません
PCoIP Ultraは、Anyware Software Client for Windows、Linux、およびmacOSでのみサポートされます。
PCoIP Ultraのベンチマーク
PCoIP Ultraセッションの帯域幅消費量の参考として、ベンチマークの結果を示します。ベンチマークに使用したシステム構成は以下のとおりです。
説明 | |
---|---|
ホスト プラットフォーム | Supermicro SYS1019GP-TT(Xeon Gold 6248 2.5 GHz、20コア) |
ハイパーバイザー | VMware ESXi 6.7 |
仮想マシン | Windows 10、96 GB RAM、grid_rtx6000_12q、HP Anyware 21.07.4 |
グラフィックス | NVIDIA RTX 6000、GRID 11.1 |
ネットワーク | 1 Gbps LAN |
クライアント エンドポイント | インテルNUC10FNHi5、Windows 10 |
ディスプレイ | 4K/UHD 3840×2160 |
Anyware Agent | バージョン21.07.4 |
Anyware Client | バージョン21.07 |
ビデオ コンテンツ | 『Big Buck Bunny』、1080 p、24 fps(オープニングの2分間) |
ネットワーク帯域幅の消費量
PCoIP Ultraを使用する場合のネットワーク帯域幅は、PCoIP Ultraのモード(CPU-Offload、GPU-Offload、またはAuto-Offloadモード)、ディスプレイ解像度、および構成された画質ポリシーなど、いくつかの要因によって異なります。
以下の表は、『Big Buck Bunny』のオープニング シーンの平均帯域幅消費量を示します。PCoIP画像品質レベルは初期設定のQ80です。再生時の解像度は元の1080 p、1080 pを1440 pに拡大したケース、および全画面の2560 p(4K/UHD)です。
帯域幅消費量(Mbps)
Auto-Offload*(YUV 4:2:0) | Auto-Offload*(YUV 4:4:4) | CPU-Offload | ||
---|---|---|---|---|
1080 p | 13.0 | 19.0 | 34.4 | |
1440 p | 17.3 | 27.5 | 43.1 | |
2560 p | 25.0 | 43.8 | 61.4 |
* PCoIP Ultra GPU-Offloadモードは、PCoIP Ultra Auto-Offloadモードと同等の帯域幅を消費します。
制限のあるネットワークの場合、PCoIPプロトコルは使用可能なネットワーク帯域幅に合わせて、画質およびフレーム レートを動的に調整します。サービス プロバイダーのネットワーク料金を抑えなければならない場合のように、帯域幅を事前に制限することが望ましい場合、PCoIPの画質およびフレーム レートに上限を設定することができます。
以下の表は、PCoIP Ultra Auto-Offloadモードでさまざまな画質設定を使用した場合のネットワーク帯域幅の節約および消費量の例を示しています。以下の帯域幅は1080 pでの数値です。
Auto-Offloadでの帯域幅消費量(Mbps)
Q60 | Q70 | Q80 | Q90 | |
---|---|---|---|---|
1080 p Auto-Offload(YUV 4:2:0) | 3.7 | 6.6 | 13.0 | 34.8 |
ホストのCPU使用率
PCoIP Ultra Auto-Offloadモードでは、エンコーディングされたピクセル レートがプログラムのしきい値を超えた場合、表示処理にNVIDIA NVENCテクノロジーを活用するため、ホストのCPU効率は他のモードより高くなります。
以下の表は、PCoIP Ultra Auto-OffloadモードおよびCPU-Offloadモードを使用した場合におけるホストの仮想マシンの平均CPU使用率を示しています。測定はVMware ESXiパフォーマンス モニターで行い、初期の画質設定および何種類かの仮想マシンvCPU割り当てを使用しました。
Auto-OffloadおよびCPU-OffloadのCPU使用率
4 vCPU | 8 vCPU | 16 vCPU | 24 vCPU | |
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1080 p(Auto-Offload) | 17% | 10% | 4% | 2% |
4K/UHD(Auto-Offload) | 19% | 11% | 4% | 3% |
1080 p(CPU-Offload) | 38% | 18% | 9% | 2% |
4K/UHD(CPU-Offload) | 58% | 28% | 14% | 3% |
PCoIPハイパー スレッディング
PCoIP Ultra CPU-Offloadは、物理コアと仮想コアを区別しません。PCoIPはハイパー スレッディングを利用しますが、N個のハイパー スレッディング コアがN個の物理コアと同じパフォーマンスを提供するわけではありません。
PCoIP Ultraプロトコル拡張の実装に関するトラブルシューティングについて詳しくは、ナレッジ ベースの記事「Troubleshooting PCoIP Ultra」を参照してください。